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現代自動車の「ソナタ」は売れるか? [クルマ]

韓国の自動車会社、現代自動車が発売した「ソナタ」は日本でヒットするでしょうか?


テレビのニュースによれば、CMには人気俳優のペ・ヨンジュンさんを起用し、テレビ番組「冬のソナタ」風にしたそうです。
また、現代自動車は日本進出以来、販売台数が思うように伸びず苦戦している、とも報じられていました。

個人的な予想を言えば、関係者には申し訳ないのですが、少しは売れても結局満足な台数は売れないんじゃないかな~と思っています。

理由はブランドイメージです。
韓国車のブランドイメージは、まだ日本では固まっていないと思います。
また、少なくとも今の日本人の韓国製品に対する平均的なイメージは、良くも悪くも日常品、という人が多いのではないでしょうか。つまり、超高級でもないけれど、劣悪品でもない。日常使う物なら、まず問題ないよね、というレベルです。
よって、食品などのように消費すると消えてしまう物やカジュアルウェアの様なブランドがすぐに分かり難いものは、比較的受け入れられていると思います。あるいは、部品レベルでなら韓国製のものが使われていても、拒否反応を示す人は少ないと思います。

しかし、クルマは日常品とは少し違う位置づけの商品です。もちろん同等品のクルマが日本製の半額以下で買えるとなれば話は別ですが、価格差は1~2割程度です。この程度の価格差ではインパクトに欠けると思います。

クルマの購入は、ちょうど女性がバック類を買うのと似ているかもしれません。単純に機能が使いやすく割安なら売れるというモノではないと思います。
もし日本のクルマ市場が、機能と価格だけを重視するマーケットなら、日本でヨーロッパの外国車が売れる理由が見当たりません。
クルマの場合は、クルマそのものの機能性以外にブランドイメージも一緒に購入しているのだと思います。

そして日本のマーケットにおいて、国産各社や欧米各社のクルマはそれぞれ独自のブランドイメージが定着していますが、現代自動車のクルマには、未だそれがありません。従って、一般的な韓国製の工業製品のイメージを頼りにせざるをえません。

また、ソナタは、国産の中高級車種と比べて少し割安な価格設定になっていますが、逆にこの点が "安物" のイメージを定着させてしまう恐れもある気がします。
トヨタがレクサスブランドで、ベンツやBMWに代表される高級路線の一角を狙い始めたのと比べると興味深いですね。

現代の自動車が、米国でそこそこ売れているのは、米国市場の寛容さが影響しているのではないでしょうか。米国は多民族国家なので、比較的多様な価値観を受け入れやすい土壌があると思います。過去、日本車が米国で受け入れられたのもその影響が大きいと思います。つまり、米国市場は比較的馴染みの無いブランドも受け入れやすい風土がある・・という事です。
一方日本の市場は、新しいブランドが入り込み難い気がします。異質なものを嫌う風土があるからでしょう。
ただし、一旦ブランド価値が確立してしまえば、よほどヒドイ不祥事でもない限り多少スペック的に劣っていても、多少割高でも売れ続ける市場だと思います。

そこで、現代自動車が日本の自動車マーケットに入り込む戦略を考えてみたいと思います。

日本で本物そっくりのニセブランドバックが、隠れたヒット商品である事を考えると、現代自動車もその応用が考えられると思います。もちろん売れ行き好調の高級車とそっくりのクルマを作り、ニセブランドで売り出す事などできませんが、OEM供給という手があります。
つまり、基本の開発や製造は現代が行うのですが、ブランドだけは日本車として売るのです。

トヨタや日産などは車種が豊富にあるので、自社商品との競合が考えられ、採用される可能性は低いと思いますが、リコール隠しの影響で売り上げが激減し開発費の捻出もままならない三菱自動車や、販売車種の少ない富士重工あたりと組んでみたら面白いんじゃないでしょうか。

三菱自動車のブランド価値は、現在かなり下がっていると思いますが、逆にその点が現代にとっては狙い目のようにも思えます。三菱のブランド価値が高すぎると、現代は単なる製造供給元にしかなれませんが、それが弱っている今なら三菱に現代のブランドをミックスすることができます。現代と三菱のコラボレーションで生まれた世界戦略車・・みたいな言い方で、ダブルブランドで売るという手も考えられます。

三菱のディーラーは、純粋な三菱開発のクルマはイメージが悪くて売りにくいかもしれませんが、ダブルブランドにすれば販売の現場で

「実は、これヒュンダイが開発した車なんです。アメリカではすごく売れているんですよ。」

とも言えます。

三菱のディーラーだって、少しでも売りやすい車がほしいでしょうから必死で売ると思います。現代にとっては、この販売力は見逃せないと思います。

そして、現代の車が本当に日本車と同等かそれ以上の品質であるならば、数がある程度売れれば、その認識は自然に日本に広がってゆくと思います。そうなれば、現代だけのブランドだけでも販売可能でしょう。

あるいは、普通のセダンタイプのクルマではなく、例えばプリウスの様なクルマを出して、ニッチマーケットから入る手もあると思います。プリウスって、決して安いクルマではないですが、環境に優しいクルマ・・というある種のブランドがあるので、売れているのだと思います。現代のクルマに乗る人は環境に優しい人・・というイメージが広がれば強いですね。

ただし、これらの戦略はそれだけの技術が必要ですし、本国の新車開発計画にも影響を与えます。よって、現代の本社側なら検討する可能性がありますが、現代ジャパンの戦略にはなり難いですね。

そこで、現代ジャパンのとるべき戦略を考えてみたいと思います。
本国を動かせないと仮定すると、打てる手は限られてきますが、CMなどは自由に作れる筈です。

で、CMにペ・ヨンジュンさんを起用、というのを考えてみたいのですが、これ安直すぎるんじゃないでしょうか。冬ソナブームもそろそろ下火です。女性の側から切り崩す戦略かもしれませんが、世の中の奥さん族は自分の旦那が現代の車に乗ったとき、ヨン様のように見えると思うのでしょうか? 失礼な話ですが、がっかりする奥様の方が多そうな気がします。

それよりも、米国ではそこそこ売れているのですから、米国の知的レベルの高い職業の人が乗っている・・といったCMの方が効果的な気がします。具体的には、例えば大学病院勤務の外科医が乗ってるとか、若手弁護士が乗っているとか、会計事務所の若手オーナーが乗っている・・といった感じのCMを流してみてはどうでしょうか。
現代自動車に乗る人は物の価値が見抜け、成功への道を順調に進んでいる人、というイメージを植えつける戦略です。
ただし、登場人物がミュージシャンや画家といったクリエイター系になると、ちょっとウソっぽい(普通のセダンに乗るとは思えない)ですし、病院のオーナーや、辣腕弁護士クラスになると、このクラスのクルマよりはるかに高級なクルマに乗ってるでしょうから、登場人物の設定には注意が必要ですね。

ボルボが日本で売れ始めたのはカメラマン達に人気のクルマ・・というイメージが広がってからだと思います。その上で、安全なクルマはボルボ・・というイメージを植えつけるのに成功したから、日本でもそこそこ売れているのだと思います。

いずれにせよ、新しいブランドで日本の新車マーケットに入るには、割安を訴求ポイントにするのではなく、環境に優しいとか、高級とか、知的、お洒落・・といったプラスイメージの強いものを訴求したほうが日本では売れるような気がしています。


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せいさく0319

せいさく0319と申します。
掲載されている日記を興味深く拝見させていただきました。事後の御連絡となりましたが、当方の記事にリンクをはらせていただき、日記を紹介させていただきました。

リンクをはらせていただいた件について、何か差しさわりがございましたら、その旨、御連絡ください。何分、ブログ初心者なもので、ご容赦ください。

また、よろしければ、今後とも、そちらのサイトを拝見させていただくつもりです。よろしくお願いいたします。

せいさく0319 
サイト名 気になるブログ10件
mail:noguchi0319@mail.goo.ne.jp 
http://plaza.rakuten.co.jp/kininaruburogu10/
by せいさく0319 (2005-09-07 06:26) 

おやぢ

せいさく様、
きになるブログに選んでいただき、有難うございます。
リンクに関しては、特に問題はございません。
今後ともよろしくお願いいたします。
by おやぢ (2005-09-09 16:09) 

おやぢさまは車がお好き,ね

センター北にレクサスのショウルームが出来て以来,その前を車で通るたびにそれとなく観察しているけど,結構休日平日関係なく人が出入りしている.となりにNetzがあるから,もろトヨタってわかるんだけど,反応はよいみたい.

ブランドって確かに大事.現代も,地道にブランドを定着させる道を模索するべきなんでしょう.現代といえば,アメリカにいたころ現代の車のCMを見ていて,ヒュンダイと連呼されると,ホンダに聞こえてしまってわらった.私の耳がカスなのかなと思ったら,結婚前の米国生活5年のうちの奥さんもそう聞こえるといってました.

私がアメリカにいたのは大分前ですが,ホンダがアキュラのようなセコンドブランドを立ち上げていて,成功してましたね.レクサスはかつて,レクサス・ウィンダムと日米で違う名前で同一車を売って失敗したんじゃなかったでしたっけ?
アメリカでは,一足早くブランドは確立してたのに.

日本車は,アメリカでは欧州車と並んでブランドでした.それは,本当に性能がよいんですね.10年ちょっと前のアメリカ車の質はGMだろうとフォードだろうとひどいものでした.本当,周囲のアメ車ユーザーはしょっちゅうに修理に出していて,私なんかは快適カーライフでした.実際アメリカでconsumers' reportのような雑誌では,上位ベスト10は日本車と欧州車が独占という時代でした.

でも,プロジェクトXなんかでみるかぎり,日本車もブランド確立まで相当な努力があって,長期間かかったわけですから,現代も相当本気にならなくては,日本で評価を得るのは難しいでしょうね.

それにしても,おやぢさまは車がお好きですね.私なんか,自分の車をこの2年間一度も洗車したことがありません.車内は,ゴミが散乱し,車自体が移動粗大ゴミとなる日も近いです.
by おやぢさまは車がお好き,ね (2005-09-10 04:15) 

おやぢ

コメント、どうもです。
レクサスのオープンカーのCMがTVで流れていますが、あれいいですねぇ。
老後はハワイのマウイ島あたりに住んで、オープンカーを乗り回したいと思っている私にとって、あのCMは私のイメージそのものです。
やっぱり空の見える車で、夏の空気を感じながら青空の下を疾走するのは最高ですよ。
by おやぢ (2005-09-16 00:45) 

とーり

マネしてもパクっても、いいけどこんな商品出してるようじゃダメでしょうね。
http://image.blog.livedoor.jp/uranewsoku/imgs/e/a/ea0d4eb1.jpg
アメリカの保険協会からもダメ出しされてますし。
http://www.hwysafety.org/ratings/rating.aspx?id=248
なんでまたこんなのをワザワザ日本に輸出してきたんでしょうねぇ。

あと、もともとヒョンデ自動車は三菱から技術提供を受けて自動車作りの基礎を築いた会社です。当時の三菱のRVRやデボネアなどをノックダウンで製造していました。やたら頑丈な三菱を作ってたはずなのになんでこんなにモロくなるんでしょうか。謎です。
by とーり (2005-10-03 23:11) 

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